感想

日本語とベトナム語の否定疑問文への応答の特徴:英語との比較

日本語とベトナム語には、否定疑問文への応答の際、独自の言語的特徴があります。この特徴は英語とは大きく異なり、文化的背景やコミュニケーションの方法を反映しています。この記事では、日本語とベトナム語の共通点を分析し、英語との違いについて説明します。

日本語の応答

日本語では、否定疑問文に対する「はい」「いいえ」の使い方が、英語話者にとって直感的ではない場合があります。これは、日本語が質問者の命題(期待)に基づいて応答するからです。

例:

  • 質問: 「学校に行かなかったの?」
  • 答え:
    • 「はい、行かなかった。」(行かなかったという命題を肯定)
    • 「いいえ、行きました。」(行かなかったという命題を否定)

ここで「はい」は、質問者の否定的な命題(期待)を肯定する形で使われ、「いいえ」はそれを否定する形で使われます。これにより、質問者の意図に応じたコミュニケーションが成り立っています。

ベトナム語の応答

ベトナム語も日本語と同じような応答ルールを持っています。否定疑問文への返答が、質問者の命題(期待)を支持するか否定するかによって変化します。

例:

  • 質問: “Không đi hc h?” (学校に行かなかったの?)
  • 答え:
    • “Vâng, tôi đã không đi hc.” (はい、行かなかったです。)
    • “Không, tôi có đi hc mà.” (いいえ、行きましたよ。)

日本語と同様に、「Vâng」(はい)は質問者の命題を肯定し、「Không」(いいえ)はそれを否定します。この点で、日本語とベトナム語は非常に似通っています。

英語との違い

英語では、否定疑問文に対する応答が異なります。英語では、「Yes」「No」が質問者の命題(期待)を反映するのではなく、回答者自身の行動や状況を基準に使われます。

例:

  • 質問: “Didn’t you go to school?”
  • 答え:
    • “Yes, I did.” (はい、行きました。)
    • “No, I didn’t.” (いいえ、行きませんでした。)

英語では、「Yes」は常に肯定、「No」は常に否定を意味します。言い換えれば、英語は質問者の命題(期待)を無視し、行動そのものに重点を当てています。このため、英語話者にとっては日本語やベトナム語の応答ルールが混乱を招くことがあります。

背景にある文化的要因

日本語とベトナム語の共通点は、両言語が質問者の意図や期待を重視する文化的価値観を反映していると考えられます。質問者と回答者の間で暗黙の調和を保つことが重視されるため、命題(期待)に基づいて応答がなされるのです。

一方で、英語圏では質問者の意図や期待ではなく、話題になった行動そのものが優先されるため、応答は回答者自身の行動や事実を直接反映します。この違いは、コミュニケーションスタイルの根本的な違いを物語っています。

まとめ

日本語とベトナム語は、否定疑問文に対する応答の方法において共通点が多く、質問者の命題(期待)を基準に応答が構築されます。一方、英語では回答者の行動や状況を基準に応答がなされるため、学習者にとっては異質に感じられるかもしれません。

これらの違いを理解することで、異文化間のコミュニケーションをよりスムーズに進めることができます。また、言語が文化や価値観とどのように結びついているかを知る良い機会となるでしょう。

Xを利用する日本のネトウヨの特徴を分析する前のページ

ベトナムがBRICSに加入せず様子を見ている理由次のページ

ピックアップ記事

  1. 23年のお正月に考えていることについて
  2. 会社に対するベトナム人従業員の警戒心の心理について
  3. ベトナム人従業員に対する指示は曖昧な言い回しではなくて明白でなければならない理由…
  4. FAXしか使わない会社、説明文を読まない事務員さんのいる会社は又多い!
  5. なぜ日本は第二次世界大戦に敗れたのか―武器の強さだけでは勝てない理由

関連記事

  1. 変わってほしい日本

    連絡帳のことについて

    日本では学校と保護者との連絡手段として「連絡帳」というものがあります…

  2. ベトナム人

    ベトナムがBRICSに加入せず様子を見ている理由

    ベトナムはBRICSへの加入を決定せず、慎重な姿勢を維持しています。…

  3. 情報弱者

    変わってほしい日本

    情報に疎い情報弱者にならないために、私が考えた、誰でも出来る9つの方法

    最近、Twitterを使ってみた結果、様々な情報に触れることができま…

  4. ベトナム人雇用

    厚生労働省が行った技能実習生の派遣機関に対する実態調査は意味がないです。

    外国人技能実習生が日本で失踪したり、万引きしたりする問題は、本国での…

  5. 変わってほしい日本

    話題になっているマイナンバーカードについて考えた事

    最近、話題になってきた一つにマイナンバーカードの普及の話があります。…

  6. ベトナム人

    来日前の借金は日本国内での技能実習生による問題の原因ではありません。

    最近、外国人技能実習生制度を批判するニュースが増えてきて、波紋を呼ん…

おすすめの記事

  1. Globalization
  2. 技能実習生

最近の記事

  1. なぜ日本は第二次世界大戦に敗れたのか―武器の強さだけでは勝て…
  2. グローバル化は悪者ではない —— 日本は自らの足かせに縛られ…
  3. 「国に帰れ」と言う前に:異なる意見を受け入れる力
  4. ベトナムがBRICSに加入せず様子を見ている理由
  5. 日本語とベトナム語の否定疑問文への応答の特徴:英語との比較
  1. ベトナム人雇用

    外国人技能実習生制度の見直しに対する私の考え方
  2. ベトナム人の犯罪・事件

    本当にベトナム人は金が無くて川魚で飢えをしのがなければならなかったのか?
  3. ベトナム人雇用

    外国人労働者を雇っている企業さんの大変さ
  4. DIY日記

    ブログを再開しました!スマホからの更新に挑戦中
  5. リスクの覚悟

    ベトナム人雇用

    ベトナム人を採用する為、日本の社長さんの「必要最低限の覚悟」について
PAGE TOP