曖昧な指示

ベトナム人雇用

ベトナム人従業員に対する指示は曖昧な言い回しではなくて明白でなければならない理由

日本人は周りの人との調和を意識して直接に言わず、言い回しを好んでいます。日本人だけの職場ではこの言い回しの習慣は会社の和気を保つ為に大きな貢献しています。しかし、ベトナム人がいる職場では言い回しが悪い影響を与える場合もありますので、ベトナム人を採用した場合は曖昧な言い回しも辞めなければなりません。

幾つかの例を取り上げて説明して行きます。ベトナム人を雇ったことのある方は過去の事を思い出しながら読んでみてください。

「よく頑張ったね」

「よく頑張ったね」や「頑張っているね」という文書は日本人がよく使っています。本当に褒めるよりも「慰める」意味の方が強いと思います。慰めるつもりで、入社したばかりのベトナム人に対しても「よく頑張っているね」と言ったりしている日本人の上司も多いです。普通なら問題はありませんが、ベトナム人の従業員さんがミスを起こした場合はその「よく頑張っている」という表現はベトナム人従業員んさんの言い訳の材料になってしまいます。ベトナム人従業員の中には「よく頑張った」ので「ミスを起こしても許して貰える」と思う人もいれば、「よく頑張っている」は「よくできている」と誤解している子もいます。この表現を適当に使えば問題が起こる恐れがあります。
それでは「よく頑張った」というのを使ってはいけないのかと言えばそうではありません。曖昧に「頑張った」というよりも、どういう部分において「頑張った」、どういう部分では「頑張っていない」をはっきりとお伝えしなければなりません。又「頑張っているが、結果が出ていない」ところも指摘してあげれば、更に分かりやすくなります。

「大変ですね」:

「大変ですね」もよく使われているフレーズです。こも、上記の「よく頑張ったね」となと似ています。しかし、「大変ですね」と言われたベトナム人は「本当に自分の仕事が大変であること」を「大変ですね」と言った日本人も認めたと解釈してしまう場合もあります。結果的に、会社ではあまり深い意味で使われているにも関わらず ベトナム人は本国に「会社も大変だと認めた仕事をしています」と報告してしまいます。それで、本国にいる家族や親戚しは「そんなに大変なら転職すればいいです。最悪の場合は辞めて帰国すればいいでしょう」とアドバイスしてきます。ここまでくると本人はやる気を無くしてしまいます。結果的に日本人はいい意味合いで言った事が逆効果になってしまいます。勿論、「大変ですね」を使ってはいけないのではなく、使い方を変えた方がいいです。例えば、「大変ですね」の続きで「まぁ仕事は楽なのはありません。皆大変なのでお互いに頑張りましょう」と加えればいいです。


「明日は早く出社してください」:

仕事の中でこのような「要求」の文書はよく使われていると思います。特別なイベント等の時は会社が従業員に対して「普段よりも早く出社するように要求するのは普通の事です。空気をよく読んでいる日本人の方なら、何時に出社すれば「早く出社」することになるのは分かっていますので全く問題はありません。しかし、ベトナム人の従業員は何時までに出社すれば「早く出社」となるのかわかりません。ベトナムでは5分前でも「早い」と考えている人もいます。場合によっては「遅刻しない」=「早い」と認識している人もすくなくないです。なので、このように、「明日は早く出社してください」と要求されても日本の会社が思っている通りに早く出社しない恐れがあります。この場合は、曖昧な「早く」という表現の代わりに「〇時〇分までに」という正確な時間の表現を使えば、問題は解決されます。通訳経由でお伝える場合は、経験のある通訳さんならそのままベトナム語に通訳して伝えるのではなく、正確な時間を会社に確認してから伝えますが、残念ながら最近は経験の通訳さんが減っています。なおので、会社は自己防衛の対策として指示の出し方を工夫しなければなりません。

上記は三つの例文を取り上げて曖昧な表現を辞めた方がいいと説明しました。「曖昧」は日本の文化の面白い特徴で、私も曖昧な表現が悪いというつもりはありません。ここで言いたいのは曖昧な表現が日本の文化・習慣を理解していないベトナム人には適切でないために(日本の会社の方は)曖昧な表現をできるだけ避けた方がいいということです。勿論、日本の文化をベトナム人従業員に教えてあげたい会社(の方)もいるかと思います。どうしても教えてあげたい場合は、段階を踏んだ方がいいです。最初は曖昧な表現を避けて率直にお伝えて、様子を見て対象のベトナム人が日本の文化になれたと感じた時は少しずつ曖昧な表現を増やしていけばいいです。難しそうな表現を使う場合は、補充説明を加えれば安全です。

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