『日本を蝕む「極論」の生体』(新潮社、2018年) を読んで見ました。
外部から監視や点検がなく、競争のない閉鎖的な空間の中で極論は生まれるという考え方を踏まえて、TPPやバブル賛美、地方消滅論などと言った意見の問題点を指摘しているのは、この本の主な内容です。
筆者の主張にたはすべて賛成しているわけではありません。しかし、「極論」の定義が面白いと、私は思っております。又、「極論」から距離を置いた方がいいという点は100%賛成しますが、実現するのは難しいと思います。
結局、「極論」は、その内容を主張している人間の考え方を表しているために、「正論」でも角度を変えれば、「極論」になってしまいますし、又見方によっては「極論」も「正論」になる可能性はあります。例えば、この本の中に、日本の人口減少問題を解決するには「移民しかない」と主張していますが、移民反対派からすればこの主張も「極論」しか見えないです。
他に気になった点と言えば、筆者は共産党批判の上、安倍政権を支援している気がするために、中立の立場に立ってこの本を書いたとは感じることができませんでした。
日本社会問題に興味のある方なら読んでみてもいいと思いますが、私としては「素晴らしいな」と思う所はまったくありませんでした。