20年近く日本企業さんに勤めているベトナム人に関わっており、色々な事を感じています。その一つにベトナム人が会社(勤務先)に対する警戒感を持っていることがあります。勿論 私もベトナム人ですので、社会人になった当初は同じ考え方を持っていました。今回はその警戒感(警戒心)のことについて考えてみます。
警戒心は信用しなくて怖いという意味です。ベトナム人にとって会社は怖い存在です。彼らは会社のことを信用していません。
慣れていない外国の企業に勤める為に心配するのは当然だと思っている方はいます。これは正しいです。又、最近ニュースによく出て来るブラック企業のことで怖くなったでしょうと言う意見もあります。これはこれで正解です。ブラック企業における未払い金等を聞いて警戒心を持たない人はいません。
実は上記の原因以外にも歴史的な原因があります。周知の通りベトナムは元々植民地でした。1945年に独立した社会主義の国です。社会主義の国では「会社」が搾取階級だとされて嫌われていました。つまり「会社」=「悪党」の存在です。勿論 資本主義も悪いと教育されています。お話しが脱線しますが、私は大学生の時日本の奨学金を頂くことが出来ました。そのことに対して大学の先生も含む数人に「日本は資本主義の国なので行かない方がいい」と言われました。これも資本主義が悪いと言う考え方から生まれた話です。元のお話に戻りますが、私ベトナム人は資本主義の代表である会社が悪いと教育されていますので、自然的に会社が怖い心理が生まれています。最近ベトナムも中国と同じく「会社」という存在が認められていますが、この心理が消えたわけではありません。
会社が「搾取階級」の代表で労働者である「非搾取階級」に属している自分の権利を奪う怖い存在だと考えて、一生懸命に自分の権利をまもったり、主張したりするのもベトナム人の特徴です。日本は資本主義の国ですが、「弱い立場」とされている労働者は法律によって結構守られている点に関しては否定できません。私自身も充分に感じています。しかし、ほどんのベトナム人の労働者はこの点を理解せず、「会社が自分の権利を奪う」なので、(会社と戦って)「自分の権利を守らなければならない」と思い、存在していない「敵」と戦っていることになってしまいます。そのせいで、会社とは距離を置いて会社に対しては警戒し続けています。結局、多くの日本の会社が望む「皆が一体になって頑張る」ことにはならず、転職を繰り返している子が多いです。
日本人の社長さんは上記のベトナム人の特徴を理解して、雇用すればある程度ベトナム人の従業員の行動を予想でき、管理の面は楽になると思います。